外国人採用で使える助成金・補助金まとめ|国と自治体の制度を一覧で紹介【2026年最新】

外国人採用で使える助成金・補助金まとめ|国と自治体の制度を一覧で紹介【2026年最新】

「外国人を採用したいけど、費用が心配」「使える助成金があるなら活用したい」

こうした声は、外国人採用を検討する企業から非常に多く寄せられます。結論から言うと、外国人採用「専用」の助成金は存在しませんが、外国人労働者にも適用できる助成金は複数あります。 うまく組み合わせれば、採用にかかるコストを数十万円単位で軽減することが可能です。

この記事では、外国人採用で活用できる国の助成金5つと、自治体独自の補助金をまとめて紹介します。さらに、「自社はどの制度が使えるのか」を判断するためのフローチャートや、申請で失敗しやすいポイントまで解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。


目次

助成金と補助金の違いを30秒で理解する

「助成金」と「補助金」はよく混同されますが、制度の仕組みがまったく異なります。まずこの違いを押さえておきましょう。

助成金=厚労省管轄、要件を満たせばほぼ受給可能

助成金は厚生労働省が管轄する制度で、定められた要件をすべて満たし、正しく申請すれば原則として受給できます。「抽選」や「採択」はありません。雇用保険に加入している事業主であれば申請資格があり、通年で申請可能なものがほとんどです。

補助金=経産省管轄、審査・採択あり

補助金は経済産業省や中小企業庁が管轄する制度で、申請しても審査を通過しなければ受給できません。採択率は制度によって異なりますが、30〜50%程度のものが多く、必ず受給できるとは限りません。また、公募期間が限定されている点も助成金との違いです。

【フローチャート】自社が使える制度を診断

以下のフローで、自社がどの制度を活用できるか確認してみてください。

Q1. すでに外国人を雇用していますか?

  • はい → 「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」の申請が可能です(後述)
  • いいえ → Q2へ

Q2. 非正規雇用(有期契約・パート等)の外国人を正社員にする予定はありますか?

  • はい → 「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」が活用できる可能性があります(ただし特定技能1号・技能実習生は正社員化コースの対象外)
  • いいえ → Q3へ

Q3. 外国人に職業訓練・研修を実施する予定はありますか?

  • はい → 「人材開発支援助成金」の活用が可能です
  • いいえ → 「トライアル雇用助成金」が活用できる可能性があります

上記はあくまで簡易診断です。実際の受給要件は各制度で細かく定められているため、詳しくは最寄りのハローワークまたは社会保険労務士にご相談ください。

助成金の活用方法について、もっと詳しく知りたい方へ

特定技能外国人の採用支援に加え、助成金の活用に関するご相談も承っています。
「自社で使える助成金はあるのか」「申請の手順がわからない」など、
お気軽にお問い合わせください。


【一覧表】外国人採用で使える国の助成金5選

外国人労働者の採用・雇用に活用できる主な助成金を一覧で紹介します。

助成金名上限額使いやすさ特定技能への適用管轄
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)最大80万円★★★厚労省
キャリアアップ助成金(正社員化コース)最大80万円/人★★☆△(処遇改善コースのみ)厚労省
トライアル雇用助成金月4万円×最長3ヶ月★★☆厚労省
人材開発支援助成金(人材育成コース)訓練費の最大75%★★☆厚労省
雇用調整助成金休業手当の2/3〜★☆☆○(緊急時のみ)厚労省

※「使いやすさ」は申請のハードル・手間・受給までの期間を総合的に評価した目安です

以下、特に活用頻度の高い上位3つの制度を詳しく解説します。

① 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)|最大80万円

外国人採用に最も直接的に関係する助成金です。外国人労働者が安心して働ける就労環境を整備する企業に対して、かかった費用の一部を助成します。

受給額:

1つの整備措置(制度導入)につき20万円(最大4つ、上限80万円)

※令和7年4月の法改正により、従来の経費連動型(上限57万〜72万円)から、導入した措置の数に応じた定額支給(最大80万円)へと変更されました。

必須の整備措置(2つとも必要):

  1. 雇用労務責任者の選任
  2. 就業規則等の社内規程の多言語化

選択の整備措置(以下から1つ以上):

  1. 苦情・相談体制の整備
  2. 一時帰国のための休暇制度の整備
  3. 社内マニュアル・標識類等の多言語化

主な受給要件:

  • 外国人労働者を雇用していること(雇用保険被保険者に限る)
  • 外国人雇用状況届出を適正に届け出ていること
  • 就労環境整備計画を作成し、計画に基づいて措置を実施すること
  • 整備措置の実施日の翌日から6ヶ月間における外国人労働者の離職率が15%以下であること

対象となる経費の例:

  • 通訳費
  • 翻訳機器の導入費
  • 翻訳料(就業規則、マニュアル、社内標識の多言語化)
  • 弁護士・社会保険労務士等への委託料
  • 社内標識類の設置・改修費

申請の流れ:

  1. 就労環境整備計画書を作成し、管轄の労働局に提出(計画期間開始の1ヶ月前まで)
  2. 計画に基づき、整備措置を導入・実施(計画期間は3ヶ月〜1年)
  3. 計画期間終了後、6ヶ月経過してから支給申請(2ヶ月以内に申請)
  4. 審査を経て助成金が支給

この助成金をおすすめする理由: 外国人を雇用している企業であれば業種を問わず申請でき、特定技能外国人も対象に含まれます。就業規則の多言語化や相談体制の整備は、外国人の定着率向上にも直接つながるため、助成金の有無にかかわらず取り組む価値のある施策です。

② キャリアアップ助成金(正社員化コース)|最大80万円/人

非正規雇用労働者を正社員に転換した場合に助成されます。外国人労働者にも適用可能ですが、重要な制限があります。

受給額(2026年度・中小企業の場合):

  • 有期雇用 → 正社員: 最大80万円(第1期40万円+第2期40万円
  • 無期雇用 → 正社員: 最大40万円(第1期20万円+第2期20万円)
    ※第2期まで進んで満額(80万円)を受給するには、対象者が「重点支援対象者(雇入れから3年以上の有期雇用者など)」に限られます。通常の場合は、有期→正社員で一律40万円の受給となります。

2026年度の新設加算:

  • 情報公表加算: 正社員転換制度や実績などの情報を自社ホームページや「しょくばらぼ(職場情報総合サイト)」上で公表した場合、1事業所あたり20万円(大企業は15万円)が加算されます(※1回限り)。

主な受給要件:

  • 転換前の雇用期間が通算6ヶ月以上あること。
  • 正社員転換後6ヶ月間の賃金を、転換前6ヶ月間と比較して「3%以上」増額(ベースアップ)させていること。

外国人採用における注意点:

ここが最も重要なポイントです。キャリアアップ助成金の「正社員化コース」では、特定技能1号・技能実習生は対象外です。これは、これらの在留資格には在留期間の上限があり、無期限の雇用を前提とする「正社員化」の趣旨に合わないためです。

ただし、「処遇改善支援」(賃金規定等改定コースなど)は特定技能外国人にも適用可能です。外国人労働者の賃金を一定割合以上引き上げた場合に助成を受けられるため、こちらの活用を検討してください。

また、「技術・人文知識・国際業務」や「永住者」「定住者」などの在留資格を持つ外国人で、有期雇用から正社員に転換するケースであれば、正社員化コースの対象になります。

③ トライアル雇用助成金|月額4万円×最長3ヶ月

職業経験の不足などから就職が困難な求職者を試行的に雇用する場合に助成されます。

受給額:

  • 月額4万円 × 最長3ヶ月 = 最大12万円/人
    ※対象者が「ひとり親家庭の親」などの場合は、月額5万円(最大15万円)に増額されます。

主な受給要件:

  • 週の所定労働時間が30時間以上であること。
  • 原則として3ヶ月間のトライアル雇用を行い、その後に無期雇用(正社員など)への移行を前提としていること。
  • ハローワーク、または厚生労働省の認可を受けた地方自治体・職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること(一般の民間求人サイトや、一部の未対応の人材紹介会社経由の採用では利用できません)。

外国人採用での活用ポイント:

日本語能力や業務適性に不安がある場合、まずトライアル雇用として受け入れ、3ヶ月間で適性を見極めた上で本採用に移行できます。ハローワーク経由での紹介が条件となるため、人材紹介会社経由の採用では利用できない点に注意してください。

助成金の活用方法について、もっと詳しく知りたい方へ

特定技能外国人の採用支援に加え、助成金の活用に関するご相談も承っています。
「自社で使える助成金はあるのか」「申請の手順がわからない」など、
お気軽にお問い合わせください。


特定技能に特化した助成金はある?

「特定技能で使える助成金は?」という検索をされる方が多いですが、特定技能外国人の採用に特化した助成金は、2026年5月時点では存在しません。

ただし、上で紹介した各助成金は在留資格を限定していないものが多いため、特定技能外国人にも適用できるケースがあります。以下に整理しました。

助成金特定技能1号への適用
人材確保等支援助成金(外国人就労環境整備)○ 適用可能
キャリアアップ助成金(正社員化コース)× 対象外
キャリアアップ助成金(処遇改善コース)○ 適用可能
トライアル雇用助成金○ 適用可能(ハローワーク経由の場合)
人材開発支援助成金○ 適用可能

特定技能外国人の採用で最も活用しやすいのは「人材確保等支援助成金」です。 就業規則の多言語化や社内標識の整備など、特定技能の受入れにあたって実際に必要になる施策がそのまま助成対象になるため、活用のハードルが低いのが特徴です。


自治体独自の補助金・支援制度

国の助成金に加えて、自治体が独自に設けている補助金や支援制度もあります。特に外国人の受入れが多い地域では、独自の支援制度が充実している傾向にあります。

【介護分野】外国人介護人材受入れ補助金

東京都や岩手県など複数の自治体が、介護分野の外国人材受入れに対して独自の補助金を設けています。対象経費は日本語学習支援、住居確保、渡航費の一部などで、金額は自治体によって異なりますが、1人あたり数十万円規模のものもあります。

【全業種】外国人材受入れに関する家賃補助

北海道や地方の市町村を中心に、外国人労働者の住居確保に対する補助金を設けている自治体があります。家賃の一部を補助するもので、特に人口減少が深刻な地域では手厚い制度が用意されていることがあります。

【研修支援】外国人従業員向け研修助成金

外国人従業員の日本語研修やビジネスマナー研修にかかる費用を助成する制度です。東京都の「外国人従業員と働く職場環境づくり推進事業」などが代表例です。

自治体の制度を効率よく探す方法

自治体の補助金は情報が分散していて見つけにくいのが難点です。以下の方法で効率的に探せます。

  1. J-Net21(中小企業基盤整備機構)の「支援情報ヘッドライン」 — 地域・分野で検索できる補助金データベースです
  2. 各都道府県の国際交流協会のウェブサイト — 外国人材関連の支援制度がまとまっていることが多い
  3. 最寄りのハローワーク・よろず支援拠点への相談 — 地域の最新情報を教えてもらえます
  4. 社会保険労務士への相談 — 助成金申請の専門家なので、活用できる制度を網羅的に提案してもらえます

助成金申請の全体スケジュールと注意点

申請から受給までは6ヶ月〜1年かかる

助成金は「後払い」の制度です。まず自社で費用を立て替え、要件を満たしたことが確認された後に支給されます。申請から受給までの一般的なスケジュールは以下の通りです。

  • 計画書の提出(措置実施の1ヶ月以上前)
  • 措置の実施(3ヶ月〜1年間)
  • 評価期間(措置実施後6ヶ月間)
  • 支給申請(評価期間終了後2ヶ月以内)
  • 審査・支給決定(申請後1〜3ヶ月程度)

つまり、最短でも計画提出から受給まで6ヶ月〜1年はかかります。「今すぐ資金が必要」という場面には向いていない点を理解しておきましょう。

事前に計画書の提出が必要な制度が多い

助成金で最も多い失敗は「先に措置を実施してしまう」ことです。 ほとんどの助成金は、措置を実施する前に計画書を提出し、認定(または届出)を受ける必要があります。計画書の提出前に就業規則を多言語化したり、正社員転換を行ったりすると、助成金の対象外になってしまいます。

この点は絶対に注意してください。「もう実施してしまった後に助成金の存在を知った」というケースが非常に多いです。

社労士への依頼費用と費用対効果

助成金の申請手続きは複雑で、必要書類も多いため、社会保険労務士(社労士)に依頼する企業が多数派です。

社労士への報酬は「成功報酬型」が一般的で、受給額の15〜25%程度が相場です。たとえば72万円を受給した場合、社労士への報酬は10万〜18万円程度となります。

自社で申請することも可能ですが、書類の不備で不支給になるリスクを考えると、初回は社労士に依頼するのが安全です。2回目以降は社労士のサポートを参考にしながら自社申請に切り替えるという方法もあります。

助成金の活用方法について、もっと詳しく知りたい方へ

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よくある質問(FAQ)

Q. 技能実習生にも助成金は使えますか?

はい、使える助成金はあります。「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」は技能実習生も対象です。ただし、「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」は技能実習生を正社員に転換するケースでは対象外となります。

Q. 助成金と補助金は併用できますか?

原則として、同じ措置に対して複数の助成金・補助金を重複受給することはできません。 ただし、対象となる措置(経費)が異なれば、複数の制度を組み合わせて活用することは可能です。たとえば、「人材確保等支援助成金」で就業規則の多言語化を行いつつ、「人材開発支援助成金」で外国人向けの研修を実施するケースは、対象経費が異なるため併用が認められる可能性があります。ただし個別の判断が必要なので、事前に管轄の労働局に確認してください。

Q. 不正受給のペナルティは?

助成金の不正受給が発覚した場合、助成金の全額返還に加えて、不正受給額の20%の違約金と延滞金が請求されます。さらに、事業主名が公表され、以降3年間はすべての雇用関係助成金の申請ができなくなります。書類の改ざんや虚偽の申請は絶対に行わないでください。


まとめ:助成金を活用して外国人採用コストを賢く削減しよう

外国人採用で活用できる助成金・補助金のポイントをまとめます。

押さえるべき3つのポイント:

  1. 「外国人採用専用」の助成金はないが、外国人にも適用できる助成金は複数ある。 特に「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」は外国人の就労環境整備に直結する制度で、最も活用しやすい
  2. 特定技能1号は「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」の対象外。 ただし処遇改善コースは適用可能。在留資格ごとに対象可否が異なるので注意が必要
  3. 計画書の提出は措置の実施前に。 「先にやってしまった」は最も多い失敗パターン。助成金の活用を決めたら、まず計画書の作成から着手すること

助成金の活用は、外国人採用のコスト負担を軽減するだけでなく、就労環境の整備を通じて外国人材の定着率向上にもつながります。制度を正しく理解し、計画的に活用していきましょう。


助成金の活用方法について、もっと詳しく知りたい方へ

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