特定技能の採用コストは日本人より高い?総額で比較してみた【2026年版】
特定技能の採用コストは日本人より高い?総額で比較してみた【2026年版】
「外国人を採用すると割高になるのでは?」
特定技能による外国人採用を検討する企業から、最も多く聞かれる疑問です。結論から言うと、採用ルートと比較条件によって答えは変わります。 人材紹介会社経由で日本人を採用する場合と比べると、特定技能のほうが安くなるケースも少なくありません。
この記事では、特定技能と日本人採用のコストを、初年度・2年目以降・3年間のトータルの3つの視点で比較します。
前提条件
公平に比較するために、以下の条件を設定します。
| 条件 | 設定値 |
|---|---|
| 業種 | 飲食料品製造業(食品工場) |
| 月給 | 22万円(特定技能・日本人とも同額) |
| 賞与 | 年2回・計2ヶ月分 |
| 年収 | 約308万円 |
| 採用方法 | 人材紹介会社経由 |
※特定技能は「国内在住の外国人を採用するケース」で試算。海外採用の場合はさらに費用が上がります。
初年度コストの比較
| 費用項目 | 特定技能(国内採用) | 日本人(人材紹介経由) |
|---|---|---|
| 人材紹介手数料 | 20万円 | 92万円(年収の30%) |
| 在留資格申請費用(行政書士) | 10万円 | 0円 |
| 登録支援機関委託費(12ヶ月分) | 36万円(月3万円×12) | 0円 |
| 住居準備費 | 0円(国内在住のため不要) | 0円 |
| 初年度の採用関連コスト合計 | 66万円 | 92万円 |
国内在住の特定技能外国人を採用する場合、初年度コストは日本人を人材紹介で採用するよりも約26万円安くなります。
これは、日本人の人材紹介料が「年収の30〜35%」と高額であるのに対し、特定技能の紹介料は10万〜30万円と安価であることが主な要因です。
2年目以降のランニングコスト比較
| 費用項目 | 特定技能 | 日本人 |
|---|---|---|
| 登録支援機関委託費 | 36万円/年 | 0円 |
| 在留資格更新費用(行政書士) | 5万円/年 | 0円 |
| 年間の追加コスト | 41万円 | 0円 |
2年目以降は、紹介手数料が発生しないため、差は「登録支援機関の委託費」と「在留資格更新費」のみです。特定技能は年間約41万円の追加コストが発生します。
3年間のトータルコスト比較
| 費用項目 | 特定技能(3年間) | 日本人(3年間) |
|---|---|---|
| 紹介手数料 | 20万円 | 92万円 |
| 在留資格関連費用 | 20万円(初回10万+更新5万×2回) | 0円 |
| 登録支援機関委託費 | 108万円(月3万×36ヶ月) | 0円 |
| 3年間の合計 | 148万円 | 92万円 |
3年間のトータルで見ると、特定技能のほうが約56万円高くなります。 登録支援機関への委託費が3年間で108万円積み上がるのが主な要因です。
ただし「定着率」で逆転するケースがある
ここまでの比較は「採用した人材が3年間辞めなかった」ことを前提にしています。しかし実際には、日本人の早期離職リスクを考慮する必要があります。
日本人の離職リスク
中小企業における正社員の離職率は業種によって異なりますが、**入社3年以内の離職率は30〜50%**と言われています。特に飲食・製造・介護など、特定技能の対象分野は離職率が高い傾向にあります。
もし日本人が1年で退職した場合、再度人材紹介会社に依頼すると紹介料が再発生します。
| シナリオ | 3年間のトータルコスト |
|---|---|
| 特定技能(3年間在籍) | 148万円 |
| 日本人(3年間在籍) | 92万円 |
| 日本人(1年で退職→再採用) | 184万円(92万円×2回) |
| 日本人(1年で2回退職→3人目で定着) | 276万円(92万円×3回) |
日本人が1回でも早期退職すると、特定技能のほうがトータルコストで有利になります。
特定技能の定着率が高い理由
特定技能外国人は、以下の理由から日本人と比べて定着率が高い傾向にあります。
- 在留資格の制約: 転職は可能だが、同一分野内に限られる。転職先が限られるため、良好な職場であれば長く働く傾向がある
- 渡航・生活の初期投資: 日本に来るまでに時間と費用をかけているため、簡単には辞めにくい
- キャリアの動機: 家族への仕送りや将来のキャリア(2号移行、永住権取得)を見据えて働く人が多い
海外採用の場合はコストが上がる
ここまでの比較は「国内在住の外国人を採用するケース」です。海外から呼び寄せる場合は、以下の費用が追加されます。
| 追加費用 | 金額 |
|---|---|
| 送り出し機関手数料 | 10万〜60万円 |
| 渡航費 | 4万〜10万円 |
| 住居準備費 | 10万〜30万円 |
海外採用の場合、初年度の採用関連コストは90万〜170万円程度になり、日本人採用と同等またはそれ以上になります。コストを重視するなら、国内在住者の採用を優先的に検討してください。
コスト以外の比較ポイント
| 比較ポイント | 特定技能 | 日本人 |
|---|---|---|
| 採用のしやすさ | ○(人材プールが豊富) | △(業種・地域により応募が少ない) |
| 即戦力度 | ○(試験合格済み) | ○〜◎(経験者であれば即戦力) |
| 日本語コミュニケーション | △(N4レベル〜) | ◎ |
| 管理コスト | △(支援義務・届出義務あり) | ◎(特別な管理不要) |
| 定着率 | ○(転職しにくい傾向) | △(業種による) |
| 長期雇用 | ○(2号移行で上限なし) | ◎ |
コストだけで判断するのではなく、「そもそも日本人の応募があるのか」が最大の判断基準です。 求人を出しても日本人の応募がない業種・地域であれば、コスト比較以前に特定技能が唯一の選択肢になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 特定技能のほうが安くなるケースはありますか?
はい、以下のケースでは特定技能のほうが安くなります。
- 技能実習生からの移行(紹介料ゼロ+送り出し機関不要)
- 自社で義務的支援を実施(登録支援機関への委託費ゼロ)
- 日本人の早期離職で再採用コストが発生するケース
Q. 給与は日本人と同じ額を払う必要がありますか?
はい、「日本人と同等以上」の報酬が法律で義務づけられています。「外国人だから安く雇える」ということはありません。
まとめ
特定技能の採用コストは、国内採用であれば日本人の人材紹介と同等水準に収まります。3年間のトータルでは特定技能のほうが高くなりますが、日本人の早期離職リスクを考慮すると、特定技能のほうがコストパフォーマンスに優れるケースは多いです。

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