特定技能の採用でよくある失敗事例5選|原因と対策を解説
「特定技能で外国人を採用したのに、すぐに辞めてしまった」「想定外のトラブルが発生し、採用コストだけがかさんだ」。こうした特定技能の採用失敗は、決して珍しい話ではありません。制度の複雑さや受け入れ体制の不備が原因で、外国人採用に失敗してしまう企業は少なくないのが実情です。本記事では、特定技能の採用でよくある失敗事例を5つ取り上げ、それぞれの原因と具体的な対策を解説します。これから外国人採用を検討している方はもちろん、過去にうまくいかなかった経験がある方にも参考になる内容です。
特定技能採用で失敗が起こる理由とは
特定技能の採用で失敗する企業には、いくつかの共通パターンがあります。制度の構造的な難しさと、企業側の準備不足が重なることで、トラブルが発生しやすくなるのです。
特定技能制度の特徴と難しさ
特定技能は、人手不足が深刻な16分野で即戦力の外国人材を受け入れるための在留資格です。技能実習制度と異なり「労働力の確保」を正面から認めた制度である一方、企業には義務的支援の実施や各種届出など、独自の責任が課せられています。
具体的には、入国前の生活ガイダンスの実施、住居の確保支援、定期的な面談など10項目の支援義務があります。これらを怠ると行政指導の対象となり、最悪の場合は受入れ停止処分を受ける可能性もあるのです。制度の仕組みを正しく理解しないまま採用に踏み切ると、想定外の負担に直面することになります。
なぜ外国人採用で失敗が起きやすいのか
外国人採用の失敗が起きやすい最大の理由は、「日本人採用と同じ感覚で進めてしまう」ことにあります。在留資格の確認、母国の送出機関との連携、文化や言語の違いへの配慮など、日本人採用にはないプロセスが多数存在します。
特に中小企業では、外国人採用の専任担当者を置く余裕がないケースが大半です。人事担当者が通常業務と兼務しながら対応するため、制度理解や書類準備が不十分になりがちです。その結果、ビザ申請の遅延やミスマッチによる早期離職といった問題に発展します。
事前準備不足が招くリスク
特定技能の採用において、事前準備の不足は致命的です。「とにかく人が足りないから早く採用したい」という焦りから、受け入れ体制を整えないまま外国人を迎え入れてしまう企業が後を絶ちません。
準備不足がもたらすリスクは多岐にわたります。社内に外国人受入れの方針が共有されていなければ、現場で摩擦が生じます。住居やライフラインの手配が遅れれば、入社日に間に合わない事態にもなりかねません。採用は「人を見つけて終わり」ではなく、受入れ後の環境整備まで含めて計画することが不可欠です。
特定技能の採用でよくある失敗事例5選
ここからは、特定技能の採用現場で実際に起きている代表的な失敗事例を5つ紹介します。いずれも複数の企業で繰り返されているパターンであり、事前に知っておくことで同じ轍を踏まずに済みます。
失敗事例①:早期離職(すぐ辞めてしまう)
ある食品製造会社では、ベトナム人の特定技能外国人を3名採用しました。しかし、入社からわずか2か月で全員が退職を申し出ました。原因を調べたところ、求人票に記載されていた業務内容と実際の作業が大きく異なっていたことが判明しています。
求人では「食品の検品・梱包」と説明していたにもかかわらず、実際には重量物の運搬や清掃作業が中心でした。来日前に抱いていた期待と現実のギャップに耐えきれず、全員が他社への転職を選んだのです。
特定技能は転職が認められている制度です。労働条件や職場環境に不満があれば、外国人は同じ分野内で他社に移ることができます。入社前の段階で業務内容を正確に伝え、認識のズレを最小限に抑えることが早期離職を防ぐ第一歩です。
失敗事例②:コミュニケーション不足によるトラブル
介護施設で特定技能のインドネシア人を採用した企業では、入社後3か月目に利用者の家族からクレームが相次ぎました。原因は、介護記録の記載ミスと、利用者への声かけが不十分だったことです。
本人の日本語能力はN4レベル(基本的な日本語が理解できる程度)で、日常会話には大きな問題がありませんでした。しかし、介護現場で求められる専門用語や敬語表現にはまったく対応できていなかったのです。企業側も「日本語試験に合格しているから大丈夫だろう」と楽観視し、入社後の日本語研修を実施していませんでした。
日本語能力試験の合格はあくまで最低基準です。業務で必要な専門用語や社内ルールは、入社後に改めて教育する体制を整えておく必要があります。
失敗事例③:在留資格の業務範囲を確認していなかった
ある企業では、特定技能の在留資格で採用した外国人に任せる業務の範囲を十分に確認していませんでした。特定技能は分野ごとに従事可能な業務が細かく定められていますが、社内で「現場仕事ならどれも同じだろう」という認識のまま、本来の業務範囲外の作業も担当させていたのです。
後になって社内の法務チェックで問題が発覚し、急いで業務配置を見直すことになりました。幸い大きな問題には至りませんでしたが、対応に追われた期間は現場の業務効率が著しく低下しています。在留資格の業務範囲を正しく理解していれば、こうした混乱は避けられたはずです。
特定技能の対象業務は分野ごとに細かく区分されています。「同じ業界だから大丈夫」という思い込みは、意図せず制度のルールに抵触するリスクを生みます。採用前に、自社の業務内容が在留資格の許可範囲に収まるかを専門家に確認しておくことが不可欠です。
失敗事例④:受け入れ体制が整っていない
ある中小企業では、初めて特定技能外国人を受け入れることになりましたが、準備期間が十分に取れませんでした。入社日の直前まで住居の手配が完了せず、初日は急きょ会社近くのウィークリーマンションで対応する事態に。さらに、社内には外国人向けの業務マニュアルも相談窓口も用意されておらず、現場のスタッフは「何をどう教えればいいか分からない」と戸惑うばかりでした。
外国人社員は、頼れる人が職場にいない状況に孤立感を深め、業務にも集中できなくなりました。日々の生活で分からないことがあっても相談できず、ストレスが蓄積した結果、入社3か月後に退職を申し出ています。企業側は採用にかけたコストと時間を回収できないまま、再び人材探しに戻ることになりました。
外国人の受入れは、住居手配・生活案内・社内教育・相談対応など多岐にわたります。「来てから考える」では遅いのです。入社日の少なくとも1か月前には、受入れ体制の準備を完了させておくべきです。
失敗事例⑤:採用コストだけかかって成果が出ない
飲食チェーンを運営する企業が、海外の送出機関を通じてミャンマーから5名の特定技能外国人を採用しました。紹介手数料・渡航費・住居初期費用などを合わせた初期コストは、一人あたり約60万円。5名で合計300万円以上を投資しています。
しかし、入社後に判明したのは、候補者の技能レベルが求める水準に達していなかったことです。送出機関任せで選考を進めた結果、面接時のやり取りと実際の能力にかい離がありました。教育コストが追加で発生し、戦力化までに想定の倍以上の時間がかかっています。
コストを無駄にしないためには、送出機関に選考を丸投げしないことが重要です。自社でも実技テストやビデオ面接を実施し、候補者のスキルを直接確認するプロセスを組み込みましょう。
「自社でも同じような失敗が起きないだろうか」と不安を感じた方は、株式会社タカスイにご相談ください。
上記のような失敗事例を踏まえ、採用計画の段階からリスクを最小化する支援を行っています。
まずは現状の課題整理だけでも構いません。お気軽にお問い合わせください。
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特定技能の失敗を防ぐための具体的な対策
失敗事例を見て「自社は大丈夫だろうか」と感じた方もいるかもしれません。ここでは、特定技能の採用で失敗しないための具体的な対策を4つの視点から整理します。
採用前にやるべき準備
最も重要なのは、採用の目的と条件を明確にすることです。「どの業務に」「どのレベルの人材を」「いつまでに」配置するのかを具体的に決めておきましょう。
あわせて、特定技能の対象分野と自社の業務が合致しているかの確認も必須です。分野ごとに従事可能な業務範囲が異なるため、入管の公式情報や専門家に確認することをおすすめします。また、採用にかかる費用の見積もりを事前に取り、予算計画を立てておくことで、コスト面の失敗も防げます。
ミスマッチを防ぐ選考方法
送出機関や人材紹介会社に選考を任せきりにしないことが鉄則です。書類選考の段階で履歴書と職歴を精査し、面接では業務内容を具体的に説明したうえで本人の意思を確認しましょう。
可能であれば、実技試験やビデオ通話による模擬業務のデモンストレーションを取り入れることを推奨します。実際のスキルレベルを事前に把握できれば、入社後の「こんなはずではなかった」を大幅に減らせます。
求人票の記載内容も重要です。業務範囲・勤務時間・休日・給与・福利厚生を具体的に記載し、候補者側の期待値を適切にコントロールすることが、ミスマッチの予防につながります。
受け入れ体制の整備ポイント
外国人社員を迎え入れる前に、以下の準備を完了させておくことが望ましいです。
- 住居の確保と生活インフラ(電気・ガス・水道・Wi-Fi)の開通
- 業務マニュアルの多言語化(最低限、母語と日本語の併記)
- 社内の受入れ担当者の選任と教育
- 緊急時の相談窓口の設置(母語対応が可能な体制が望ましい)
- 生活オリエンテーション(ゴミ出し・交通ルール・病院の利用方法など)の準備
受入れ体制の不備は、外国人社員の不安を増大させ、早期離職の直接的な引き金になります。「ここまでやるのか」と感じるかもしれませんが、初期投資を惜しまないことが長期的な定着につながります。
定着率を高める仕組みづくり
採用して終わりではなく、定着させてこそ成果です。定着率の高い企業には、共通して以下のような取り組みが見られます。
- 月1回以上の定期面談の実施(業務の悩みだけでなく生活面もヒアリング)
- 日本語学習の機会提供(社内勉強会やオンライン日本語教室の費用補助)
- キャリアアップの道筋の提示(特定技能2号への移行や正社員登用の可能性など)
- 同国出身の先輩社員によるメンター制度の導入
外国人社員が「この会社で長く働きたい」と思える環境をつくることが、採用コストの回収と戦力化の両面で最も効率的な方法です。
特定技能採用で注意すべき法的ポイント
特定技能の採用では、法令違反が企業経営に重大な影響を及ぼします。知らなかったでは済まされない法的リスクを整理しておきましょう。
在留資格の基本ルール
特定技能の在留資格には「1号」と「2号」があります。1号の在留期間は通算5年が上限で、家族の帯同は認められていません。2号は在留期間の更新に上限がなく、家族帯同も可能です。ただし、2号の対象分野は段階的に拡大されている途中であり、すべての分野で取得できるわけではありません。
企業が最初に確認すべきは、自社の業種・業務が特定技能の対象分野に該当するかどうかです。対象外の業務に従事させた場合は、在留資格の取消しや企業への処分につながります。
違法雇用・不法就労のリスク
不法就労助長罪は、外国人に資格外の活動をさせた場合だけでなく、在留期限が切れた外国人を雇い続けた場合にも適用されます。罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金と、企業にとって極めて重い内容です。
防止策としては、採用時に在留カードの原本を確認し、就労制限の有無と在留期限を記録しておくことが基本です。さらに、在留期限の3か月前にはアラートが届く仕組みを人事システムに組み込んでおくと、更新漏れを防げます。
また、出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」を活用すれば、在留カードの有効性をオンラインで確認することも可能です。
登録支援機関の役割と重要性
特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、義務的支援を自社で実施するか、登録支援機関に委託するかを選択できます。登録支援機関とは、出入国在留管理庁に登録された支援専門の法人や個人のことです。
登録支援機関に委託するメリットは、支援業務の負担を軽減できるだけでなく、制度変更への対応や行政手続きのサポートも受けられる点にあります。ただし、登録支援機関の質にはばらつきがあるのが実情です。
選定の際は、対応言語・支援実績・緊急時の対応体制・費用の内訳を確認しましょう。費用の安さだけで選ぶと、支援の質が低く結果的にトラブルが増えるケースもあります。信頼できるパートナーを見つけることが、特定技能のトラブル回避において極めて重要です。
制度の複雑さや法的リスクに不安を感じている方は、株式会社タカスイにお任せください。
登録支援機関としての義務的支援はもちろん、ビザ申請の代行から定着支援まで一括で対応いたします。
煩雑な手続きによる法令違反リスクを回避し、安心して外国人採用を進められる体制を整えます。
特定技能で失敗しないための採用成功のコツ
最後に、特定技能の採用を成功させている企業に共通するポイントを整理します。失敗を避けるだけでなく、外国人採用を経営の力に変えるための視点をお伝えします。
成功企業に共通するポイント
特定技能の採用で成果を上げている企業には、3つの共通点があります。
1つ目は、経営層が外国人採用にコミットしていることです。人事部門だけに任せるのではなく、経営方針として多様な人材の受入れを明示している企業ほど、現場の協力を得やすくなります。
2つ目は、採用前に十分な時間をかけて準備をしていることです。焦って採用するのではなく、受入れ体制の構築や候補者の選定に最低でも3か月の期間を設けています。
3つ目は、採用後のフォローを仕組み化していることです。定期面談や日本語教育を「気が向いたらやる」ではなく、年間スケジュールに組み込んで運用しています。
特定技能と技人国の使い分け
外国人採用を検討する際には、特定技能だけでなく「技術・人文知識・国際業務(技人国)」という在留資格も選択肢に入ります。
特定技能は、介護・外食・建設・製造などの現場業務で即戦力として働ける人材を対象としています。学歴要件はなく、技能試験と日本語試験の合格が取得条件です。一方、技人国はエンジニア・通訳・営業・マーケティングなどのオフィスワーク向けの在留資格で、大卒以上の学歴もしくは10年以上の実務経験が求められます。
任せたい業務が現場作業なのかデスクワークなのかによって、最適な在留資格は異なります。どちらを選ぶべきか判断がつかない場合は、専門家に相談して業務内容と在留資格の整合性を確認しておくことが、失敗回避の近道です。
自社に合った外国人採用の考え方
外国人採用は「人手不足の穴埋め」として捉えるのではなく、「組織の成長戦略の一環」として位置づけることが成功の鍵です。短期的な労働力の確保だけを目的にすると、コストに見合わない結果に終わりがちです。
自社の事業計画と照らし合わせ、どの部署にどのようなスキルを持つ人材が必要なのかを明確にしましょう。そのうえで、特定技能・技人国のどちらが適しているか、国内在住者と海外からの招へいのどちらが現実的かを判断します。
採用は一度きりのイベントではなく、定着・育成まで含めた長期的な取り組みです。信頼できる支援パートナーとともに計画を立てることで、外国人採用の失敗リスクを大幅に下げることができます。
「外国人採用に興味はあるが、失敗が怖くて一歩を踏み出せない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
株式会社タカスイは、特定技能・技人国のどちらにも対応し、
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