特定技能「漁業」の採用ガイド|養殖・漁船漁業の受入れ要件と費用【2026年版】
特定技能「漁業」の採用ガイド|養殖・漁船漁業の受入れ要件と費用【2026年版】
漁業は、高齢化と担い手不足が最も深刻な産業のひとつです。農林水産省のデータによると、漁業就業者の平均年齢は約57歳。若年層の新規参入は年々減少しており、地方の漁協や水産加工会社にとって人材確保は喫緊の課題となっています。
特定技能「漁業」は、こうした人手不足を解消するために2019年に創設された在留資格です。この記事では、漁業分野の特定技能について、養殖と漁船漁業の違い、受入れ要件、費用、採用の流れまで解説します。
特定技能「漁業」の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 在留期間 | 1号:通算5年 / 2号:上限なし |
| 雇用形態 | 直接雇用 または 派遣 |
| 受入れ見込み数 | 1,700人(2024年〜2029年の5年間) |
| 特定技能2号 | あり(2023年6月に追加) |
漁業分野の最大の特徴:派遣が認められている
特定技能16分野の中で、派遣形態での就労が認められているのは漁業と農業の2分野だけです。
漁業は季節によって繁忙期と閑散期の差が大きく、1社で通年雇用することが難しい場合があります。そのため、派遣元(人材派遣会社)が外国人を雇用し、複数の漁業者に派遣する形態が認められています。
ただし、派遣元の事業者には漁業分野での実績要件など追加条件があるため、すべての派遣会社が対応できるわけではありません。
2つの業務区分:漁船漁業と養殖業
漁業分野は以下の2つの業務区分に分かれています。
漁船漁業
漁船に乗り組んで行う漁業全般です。
従事できる業務:
- 漁具の製作・補修
- 漁船への水・氷・燃料の補給、漁具・資材の積込み
- 操業(出航準備、漁ろう作業、漁獲物の処理・保蔵)
- 安全衛生の確保
- 漁獲物の選別・水揚げ
注意点: 漁船漁業では、船上での生活を伴う長期間の航海がある場合もあります。受入れの際は、労働条件(航海日数、休日の確保)について外国人に十分な説明を行ってください。
養殖業
養殖場で行う水産動植物の養殖全般です。
従事できる業務:
- 養殖資材の製作・補修・管理
- 養殖水産動植物の育成管理(給餌、水質管理、防疫対策)
- 養殖水産動植物の収穫・処理
- 安全衛生の確保
養殖業は漁船漁業と比べて労働環境が安定しており、通年雇用がしやすい傾向があります。そのため、初めて外国人を受入れる場合は養殖業のほうがハードルが低いと言えます。
受入れ要件
外国人側の要件
以下のいずれかを満たす必要があります。
パターン①:試験合格
- 漁業技能測定試験(漁船漁業 または 養殖業)に合格
- 日本語能力試験N4以上 または JFT-Basic合格
パターン②:技能実習からの移行
- 漁業職種の技能実習2号を良好に修了(試験免除)
漁業技能測定試験は、漁船漁業と養殖業で別々の試験が実施されます。受入れたい業務区分に対応した試験に合格していることが必要です。
企業側の要件
- 漁業法に基づく漁業権または漁業許可を有していること
- 漁業分野の協議会に加入すること(初回受入れ後4ヶ月以内)
- 労働安全衛生法に基づく安全管理措置を講じていること
- その他、特定技能共通の要件を満たすこと
費用の目安
初年度の費用シミュレーション(1名・国内採用の場合)
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 人材紹介手数料 | 10万〜30万円 |
| 在留資格申請費用(行政書士依頼) | 5万〜15万円 |
| 登録支援機関委託費(12ヶ月分) | 24万〜48万円 |
| 住居準備費(地方の場合は社宅活用で抑制可能) | 5万〜20万円 |
| 合計 | 約44万〜113万円 |
漁業は地方が中心のため、住居費を社宅や寮でカバーできるケースが多く、都市部の業種と比べて住居準備費を抑えられる傾向があります。

採用の流れ
- 人材紹介会社への依頼・候補者選定(1〜2ヶ月)
- 面接・選考(オンライン or 現地)
- 雇用契約の締結・支援計画書の作成(2〜3週間)
- 在留資格の申請(審査1〜3ヶ月)
- 入社・事前ガイダンス・生活オリエンテーション
漁業分野は建設業のような受入計画の事前認定が不要なため、最短3〜4ヶ月で就労開始が可能です。
漁業分野で外国人を受入れる際の注意点
生活環境の整備
漁業は地方の港町が主な就労地となるため、生活インフラ(スーパー、病院、公共交通)が限られている地域も多くあります。外国人が孤立しないよう、以下の点に配慮してください。
- 買い物に行ける交通手段の確保(社用車の共有、自転車の貸与等)
- 最寄りの医療機関の情報提供と、通訳手配の準備
- 母国の食材が入手できるルートの情報提供
- Wi-Fi環境の整備(家族との連絡手段として必須)
季節変動への対応
漁業は季節による繁閑の差が大きい業種です。閑散期に外国人の業務がなくなると、休業手当の支払いやモチベーション低下の問題が生じます。閑散期には水産加工や養殖施設のメンテナンスなど、付随する業務を計画的に割り当てることが重要です。
安全教育の徹底
漁船漁業は危険を伴う作業が多いため、安全教育は日本語+母国語で徹底的に行ってください。ライフジャケットの着用、荒天時の対応、緊急連絡先の共有など、命に関わる事項は何度でも繰り返し指導する必要があります。
よくある質問(FAQ)
Q. 水産加工は「漁業」に含まれますか?
水産加工のうち、漁獲物の船上での処理・保蔵は「漁業」に含まれます。一方、陸上の加工場での水産加工は「飲食料品製造業」に分類されます。自社の業務がどちらに該当するか判断に迷う場合は、管轄の地方出入国在留管理局に確認してください。
Q. 漁業の特定技能2号に移行できますか?
はい、2023年6月から漁業も特定技能2号の対象になりました。2号に移行すると在留期間の上限がなくなり、家族帯同も可能になります。移行には漁業技能測定試験(2号用)の合格と一定の実務経験が必要です。
Q. おすすめの採用国はどこですか?
漁業分野ではインドネシア、ベトナム、フィリピンからの採用が多い傾向にあります。特にインドネシアは島国で漁業従事者が多く、漁業経験のある人材を確保しやすいのが特徴です。
まとめ
漁業分野の特定技能は、派遣形態が認められている点や、地方での生活環境整備が重要である点など、他の分野とは異なる特徴があります。養殖業であれば通年雇用がしやすく、初めての外国人受入れにも適しています。
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