特定技能「介護」完全ガイド|受入れ要件・試験・費用・採用の流れ【2026年版】

特定技能「介護」完全ガイド|受入れ要件・試験・費用・採用の流れ【2026年版】

介護分野は、特定技能16分野の中で最も受入れ人数が多い分野です。2024年時点で約4万3,000人の特定技能外国人が介護分野で働いており、その数は年々増加しています。

「介護の人手不足を解消したい」「特定技能で外国人を採用したいが、制度がよくわからない」

こうした介護事業者のために、この記事では特定技能「介護」の制度概要から、他の在留資格との比較、受入れ要件、試験内容、費用、採用の流れ、そして2025年4月に解禁された訪問介護の最新情報まで、網羅的に解説します。


目次

特定技能「介護」とは?制度の概要と他制度との比較

特定技能「介護」は、介護分野の人手不足に対応するため2019年に創設された在留資格です。一定の介護技能と日本語能力を持つ外国人が、日本の介護施設で最長5年間働くことができます。

基本情報

項目内容
在留期間通算5年(1年・6ヶ月・4ヶ月ごとに更新)
雇用形態直接雇用のみ(派遣は不可)
家族帯同不可
受入れ見込み数13万5,000人(2024年〜2029年の5年間)
対象施設介護福祉施設サービス、通所介護、訪問介護(2025年4月〜)等
夜勤可能(ただし、受入れ直後から単独での夜勤配置は避けるのが望ましい)

特定技能「介護」に2号はない

特定技能には1号と2号がありますが、介護分野には2号がありません。 これは、介護分野には別途「在留資格『介護』」という永続的に日本で働ける在留資格が用意されているためです。

特定技能1号(最長5年)で働きながら介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更することができ、在留期間の更新に上限がなくなります。つまり、特定技能「介護」は介護福祉士を目指すためのステップとしても活用できる制度です。

【4制度比較表】特定技能 vs EPA vs 技能実習 vs 在留資格「介護」

介護分野で外国人を採用する方法は主に4つあります。どの制度を選ぶべきかは、「すぐに即戦力が欲しいのか」「長期雇用を見据えているのか」によって異なります。

項目特定技能「介護」EPA(経済連携協定)技能実習「介護」在留資格「介護」
在留期間最長5年最長4年
(合格で無制限)
最長5年無制限(更新可能)
日本語レベルN4以上N5程度(入国時)N4以上N2程度(目安)
即戦力度★★★★★☆★☆☆★★★★
採用コスト低〜中中〜高
転職の可否可能原則不可原則不可可能
対象国制限なしベトナム・フィリピン・インドネシア制限なし制限なし
家族帯同不可不可不可可能
訪問介護可能(2025年4月〜)可能可能(2025年4月〜)可能

即戦力が欲しいなら「特定技能」がおすすめです。 技能試験と日本語試験に合格済みのため、入社後すぐに介護業務に従事できます。

長期雇用を見据えるなら「在留資格『介護』」が理想ですが、 介護福祉士の国家資格が必要なためハードルは高めです。まず特定技能で採用し、働きながら介護福祉士を目指してもらうルートが現実的です。

任せられる業務とNGな業務

特定技能「介護」で任せられる業務は幅広く、日本人の介護職員とほぼ同等の業務が可能です。

任せられる業務(OK):

  • 身体介護(入浴・食事・排泄の介助)
  • 機能訓練の補助
  • レクリエーションの実施
  • 記録の作成(介護記録等)
  • 訪問介護(2025年4月〜、要件あり)

任せられない業務(NG):

  • 医療行為(たん吸引・経管栄養などの医療的ケアは、研修修了後に一部可能)
  • 服薬管理等の看護業務
  • 人員配置基準の対象外業務のみの従事

なお、特定技能外国人は人員配置基準に含めることができます。 これは技能実習生にはない大きなメリットです。


受入れ要件と試験の内容

外国人側の要件(3つの試験合格 or 技能実習2号修了)

特定技能「介護」で働くためには、以下の3つの試験すべてに合格する必要があります。

  1. 介護技能評価試験
  2. 介護日本語評価試験
  3. 日本語能力試験N4以上 または JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)

ただし、介護職種の技能実習2号を良好に修了した外国人は、これらの試験が免除されます。

介護技能評価試験・介護日本語評価試験の内容と合格率

介護技能評価試験:

  • 試験形式:コンピュータ方式(CBT)
  • 試験時間:60分
  • 出題数:全45問(学科40問+実技5問)
  • 合格基準:総得点の60%以上
  • 受験料:2,000円程度(国によって異なる)
  • 受験場所:国内および海外(フィリピン・インドネシア・ベトナム・ミャンマー等)

出題範囲は、介護の基本、こころとからだのしくみ、コミュニケーション技術、生活支援技術などです。

介護日本語評価試験:

  • 試験時間:30分
  • 出題数:15問
  • 合格基準:総得点の60%以上

介護の現場で使われる専門用語(「体位変換」「清拭」「嚥下」など)の理解度が問われます。

合格率の目安: 国内受験の合格率は介護技能評価試験が約70〜80%、介護日本語評価試験が約80〜90%とされています。海外受験では合格率が下がる傾向がありますが、十分な試験対策を行えば合格は十分に可能です。

日本語能力試験 N4 または JFT-Basic

上記2つの試験に加えて、一般的な日本語能力を証明するために以下のいずれかの試験に合格する必要があります。

  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上 — 基本的な日本語を理解できるレベル。年2回(7月・12月)実施
  • JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト) — JLPTのN4相当。年間を通じて随時受験可能

JFT-Basicは随時受験できるため、JLPTの実施月を待てない場合に便利です。

企業側の要件(対象施設・人員配置基準・受入れ人数の上限)

特定技能「介護」で外国人を受入れるには、企業側にも要件があります。

対象施設: 介護保険法に基づくサービスを提供している施設が対象です。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、通所介護(デイサービス)、グループホーム、有料老人ホーム、訪問介護事業所(2025年4月〜)などが含まれます。

受入れ人数の上限: 事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数が上限です。たとえば、常勤の日本人介護職員が10人いる事業所であれば、特定技能外国人は最大10人まで受入れ可能です。

協議会への加入: 特定技能外国人を初めて受入れる場合、受入れ後4ヶ月以内に「介護分野特定技能協議会」の構成員になる必要があります。加入手続きは国際厚生事業団(JICWELS)のウェブサイトから行えます。加入費用は無料です。


【2025年最新】訪問介護の解禁と対象サービス

2025年4月21日、特定技能外国人による訪問介護サービスへの従事が正式に解禁されました。これは介護業界にとって非常に大きな制度変更です。

訪問介護が条件付きで解禁された背景

訪問介護の有効求人倍率は15倍を超え、全業種の中でも最も深刻な人手不足に陥っています。事業所の廃止理由の最多は「人手不足」であり、このままではサービスの維持が困難になるという危機感から、外国人材の訪問介護への従事が解禁されました。

ただし、訪問介護は利用者の自宅で1対1でケアを行うという特性上、施設介護にはない追加要件が設けられています。

従事するための追加要件

外国人側の要件:

  • 介護職員初任者研修を修了していること
  • 介護事業所等での実務経験が原則1年以上あること
  • 訪問介護等の業務の基本事項等に関する研修を受講していること

事業者側の要件:

  1. 訪問介護の基本事項、生活支援技術、日本の生活様式に関する研修の実施
  2. 一定期間のOJT(責任者等の同行支援)の実施
  3. 外国人本人と共同でのキャリアアップ計画書の作成・協議会への提出
  4. ハラスメント防止のための対応マニュアルの作成・相談窓口の設置
  5. ICTの活用を含む環境整備(緊急時対応のため)

対象サービス一覧

今回の解禁で、特定技能外国人が従事できるようになった訪問系サービスは以下の通りです。

  • 訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • 夜間対応型訪問介護
  • 介護予防訪問入浴介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 訪問型サービス(総合事業)

注意: 介護福祉士の資格がなくても訪問介護に従事できますが、上記の追加要件(初任者研修修了+実務経験1年以上)を満たす必要があります。


特定技能「介護」の費用と使える助成金

初期費用の目安

費用項目相場(1名あたり)
人材紹介手数料15万〜40万円
送り出し機関手数料(海外採用の場合)10万〜60万円
在留資格申請費用(行政書士依頼)5万〜20万円
渡航費(海外採用の場合)4万〜10万円
住居準備費用10万〜30万円

国内在住の外国人を採用する場合は、送り出し機関手数料・渡航費・住居準備費が不要になるため、大幅にコストを抑えられます。

月額費用の目安

費用項目相場(1名あたり)
登録支援機関への支援委託費月額2万〜4万円
給与月額21万〜25万円(日本人と同等以上)
社会保険料(企業負担分)給与の約15%

介護分野で使える助成金

介護分野の外国人採用では、以下の助成金が活用可能です。

  • 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) — 就業規則の多言語化や相談体制の整備に最大80万円
  • 自治体独自の補助金 — 東京都・岩手県など複数の自治体が、外国人介護人材の受入れに独自の補助金を設けています

採用から入社までの流れ(5ステップ)

STEP1:採用計画の策定と人材紹介会社への依頼

まず、何名採用するか、どの国籍の人材を採用するか、海外採用か国内採用かを決定します。人材紹介会社(登録支援機関)に依頼する場合は、この段階で見積もりを取りましょう。複数社から見積もりを取り、紹介料だけでなく、サポート体制や過去の実績も比較してください。

STEP2:面接・選考(オンライン or 現地)

人材紹介会社から候補者のプロフィールが届いたら、面接を行います。海外在住者の場合はオンライン面接が一般的です。介護の経験、日本語能力、コミュニケーション力、モチベーションなどを確認します。

面接時のポイントとして、「なぜ日本で働きたいのか」「将来のキャリアプラン(介護福祉士を目指すか等)」を確認すると、定着率の高い人材を見極めやすくなります。

STEP3:雇用契約の締結と支援計画の作成

採用が決まったら、雇用契約書を締結します。雇用条件(給与・労働時間・休日等)は日本人と同等以上であることが必須です。

同時に、「1号特定技能外国人支援計画書」を作成します。この支援計画書には、義務的支援10項目(事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保の支援、生活オリエンテーションなど)の実施方法を記載します。

STEP4:在留資格の申請(認定 or 変更)

海外から呼び寄せる場合 → 「在留資格認定証明書交付申請」を行います。審査期間は1〜3ヶ月程度です。認定証明書が交付されたら、外国人が現地の日本大使館でビザ(査証)を取得し、入国します。

国内在住の外国人の場合 → 「在留資格変更許可申請」を行います。審査期間は1〜2ヶ月程度です。留学生や技能実習生からの変更が一般的です。

いずれの場合も、必要書類は100枚を超えることがあるため、行政書士への依頼を検討してください。

STEP5:入社・事前ガイダンス・生活オリエンテーション

在留資格が許可されたら、入社手続きを行います。海外から入国する場合は、空港への出迎え(義務的支援)も必要です。

入社後は、事前ガイダンス(入社前に実施)と生活オリエンテーション(入社後速やかに実施)を行います。日本のルール・マナー、交通手段、医療機関の利用方法、災害時の対応などを、外国人が理解できる言語で説明します。


受入れで失敗しないためのポイントとチェックリスト

日本語コミュニケーションのギャップへの対策

特定技能「介護」の外国人は日本語N4レベル以上ですが、介護現場で求められるコミュニケーション力はN4だけでは不十分なことがあります。特に、高齢者特有の方言や言い回し、曖昧な表現の理解には時間がかかります。

対策としては、入社後も日本語学習の機会を提供すること、そして職場内で「やさしい日本語」を使う意識を日本人スタッフに共有することが効果的です。

夜勤シフトの組み方と注意点

特定技能外国人に夜勤を担当させること自体は法的に問題ありませんが、入社直後から単独での夜勤配置は避けるべきです。最低でも数ヶ月間は日本人スタッフとの同行勤務を経て、業務に十分慣れてから夜勤に入ってもらう運用が望ましいです。

また、夜勤は外国人にとっても負担が大きいため、夜勤手当の適正な支払いと、シフトの偏りがないよう配慮してください。

定着率を高める受入れ体制づくり

特定技能外国人の離職を防ぐためには、「働きやすさ」と「キャリアの見通し」の両方が重要です。

具体的には、介護福祉士の資格取得支援(受験対策講座の費用補助、学習時間の確保)や、定期的な面談による不安の把握、生活面でのサポート(住居・銀行口座・携帯電話の契約支援など)が効果的です。

【チェックリスト】受入れ前に確認すべき項目一覧

  • □ 自施設が対象施設に該当するか確認した
  • □ 常勤介護職員の人数を確認し、受入れ枠に余裕がある
  • □ 支援体制を決定した(自社実施 or 登録支援機関に委託)
  • □ 登録支援機関に委託する場合、複数社から見積もりを取った
  • □ 介護分野特定技能協議会への加入手続きを把握している
  • □ 外国人の住居(社宅・寮 or 物件手配)の準備ができる
  • □ 日本人スタッフに外国人受入れについて事前説明を行った
  • □ 就業規則や社内マニュアルの多言語化を検討している
  • □ 介護福祉士の資格取得支援の方針を決めている

よくある質問(FAQ)

Q. 特定技能「介護」で夜勤は初日からできますか?

法的には禁止されていませんが、入社初日からの単独夜勤は推奨されません。厚生労働省も、受入れ直後は日本人スタッフと同行での勤務を推奨しています。施設の安全管理と外国人本人の不安軽減のため、最低でも数ヶ月間は日勤での研修期間を設けてください。

Q. 介護福祉士を取得すれば永続的に日本で働けますか?

はい。特定技能「介護」で働きながら介護福祉士の国家資格を取得し、在留資格を「介護」に変更すれば、在留期間の更新に上限がなくなります。家族の帯同も可能になるため、長期的なキャリアプランとして介護福祉士の取得を目指す外国人は多いです。

Q. おすすめの採用国はどこですか?

介護分野で特に採用実績が多いのは、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ミャンマーです。それぞれの特徴を簡単にまとめると以下の通りです。

  • ベトナム — 採用人数が最も多い。勤勉で学習意欲が高い傾向。送り出し機関の選定が重要
  • フィリピン — 英語力が高く、コミュニケーション能力に優れる。ホスピタリティ精神が強い
  • インドネシア — 穏やかな性格の人材が多い。イスラム教徒が多いため、食事や礼拝への配慮が必要
  • ミャンマー — 真面目で素直な人材が多いと評価が高い。近年、採用が急増している

どの国が「ベスト」かは施設の特性や求める人材像によって異なります。複数国からの採用を検討し、自施設に合った人材を見つけることをおすすめします。


まとめ:介護分野の特定技能は今後さらに拡大する

特定技能「介護」は、即戦力の外国人介護人材を確保できる制度として、今後さらに活用が広がると予想されます。

特に、2025年4月の訪問介護解禁は大きな転機です。これまで施設介護に限定されていた外国人材の活躍の場が、在宅介護にまで広がりました。訪問介護の有効求人倍率が15倍を超える現状において、この制度変更は人手不足の解消に大きく貢献する可能性があります。

また、2024年の閣議決定により、介護分野の特定技能受入れ見込み数は5年間で13万5,000人と設定されており、政府も積極的な受入れを推進しています。

大切なのは、制度を正しく理解し、外国人が安心して働ける環境を整備した上で採用に臨むことです。介護福祉士の資格取得を見据えたキャリアパスの提示や、日本語学習の支援など、長期的な視点での受入れ体制づくりが、採用成功のカギを握ります。


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