技能実習と特定技能の違いを徹底比較|どちらを選ぶべき?【2026年版】

技能実習と特定技能の違いを徹底比較|どちらを選ぶべき?【2026年版】

「技能実習と特定技能、どちらで外国人を受入れるべきか?」

外国人の採用を検討する企業が最初にぶつかる疑問です。名前は似ていますが、この2つの制度は目的も仕組みもまったく異なります。 さらに2027年4月には技能実習制度が廃止され「育成就労制度」に移行するため、今後の採用戦略にも大きく影響します。

この記事では、技能実習と特定技能の違いを7つの項目で比較し、自社に合った制度の選び方を解説します。


目次

最大の違いは「制度の目的」

制度目的
技能実習開発途上国への技能移転による国際貢献
特定技能国内の人手不足分野における即戦力の確保

技能実習はあくまで「実習」であり、日本で技能を学んで母国に持ち帰ることが建前です。そのため、原則として転職(転籍)が認められておらず、同一の受入れ企業で実習を続ける必要があります。

一方、特定技能は「労働力の確保」が明確な目的です。外国人は一定の技能と日本語力を持つ即戦力として雇用され、同じ分野内であれば転職も認められています。


【比較表】技能実習 vs 特定技能、7つの違い

比較項目技能実習特定技能1号特定技能2号
制度の目的国際貢献(技能移転)人手不足解消人手不足解消
在留期間最長5年(1号1年+2号2年+3号2年)通算5年上限なし
対象分野91職種168作業16分野11分野(介護を除く)
転職の可否原則不可同一分野内で可能同一分野内で可能
家族帯同不可不可可能
受入れ方法監理団体を通じて受入れ人材紹介会社 or 直接採用同左
必要な日本語レベル条件なし(介護はN4)N4以上分野による
受入れ人数の上限常勤職員数に応じた制限あり分野ごとの上限分野ごとの上限
報酬水準最低賃金以上日本人と同等以上日本人と同等以上

違い① 転職の可否——最も実務に影響する違い

企業にとって最も大きな違いは転職(転籍)の可否です。

技能実習 では、原則として実習先の変更はできません。よほどの理由(企業の倒産、法令違反など)がない限り、3〜5年間同じ企業で働き続けます。企業にとっては「採用した人材が途中で抜ける心配がない」というメリットがある一方、外国人にとっては「劣悪な環境でも逃げられない」という問題が指摘されてきました。

特定技能 では、同一分野内であれば転職が認められています。企業側から見ると、待遇や職場環境が悪ければ他社に転職されるリスクがありますが、裏を返せば「良い環境を提供すれば定着してもらえる」ということです。


違い② 受入れ方法——監理団体 vs 人材紹介会社

技能実習 は、企業が直接外国人を採用するのではなく、「監理団体」という仲介組織を通じて受入れます。監理団体が送り出し機関と連携し、実習生の選定・入国手続き・入国後の監理を行います。企業は監理団体に毎月の監理費(3万〜5万円/名程度)を支払います。

特定技能 は、人材紹介会社を利用するか、企業が直接採用することができます。受入れ後の義務的支援は登録支援機関に委託するか、自社で実施するかを選択できます。監理団体のような仲介組織を通す義務はありません。


違い③ コスト——どちらが安いのか

コスト項目技能実習(3年間)特定技能1号(3年間)
初期費用(紹介料・渡航費等)30万〜60万円40万〜150万円
月額費用(監理費 or 支援委託費)3万〜5万円/月2万〜4万円/月
3年間の月額費用合計108万〜180万円72万〜144万円
報酬水準最低賃金〜日本人と同等以上
3年間のトータルコスト(報酬除く)約138万〜240万円約112万〜294万円

初期費用は特定技能のほうが高くなる傾向がありますが、月額の監理費・支援委託費は特定技能のほうが安い傾向にあります。

ただし、最も大きなコスト差は報酬水準です。技能実習生の給与は最低賃金に近い水準であることが多いのに対し、特定技能外国人は日本人と同等以上の報酬が義務づけられています。人件費を含めたトータルコストでは、技能実習のほうが安くなるケースが多いです。

しかし、コストだけで判断するのは危険です。 技能実習生の低賃金は離職(失踪)のリスクを高め、失踪が発生すると受入れ停止処分を受ける可能性があります。適正な報酬を支払い、良い環境を提供することが、長期的にはコスト削減につながります。


違い④ 即戦力度——特定技能の圧倒的な優位性

技能実習 は「実習」なので、入国時点では業務経験がゼロの場合も多く、一から教育する必要があります。即戦力として期待するのは難しいです。

特定技能 は、技能試験と日本語試験に合格済みのため、入社時点で一定の技能と日本語力が保証されています。特に技能実習2号修了後に特定技能に移行した外国人は、すでに3年間の実務経験があるため、即戦力として非常に優秀です。


違い⑤ 在留期間と将来のキャリアパス

技能実習 は最長5年で帰国が原則です。ただし、技能実習2号修了後に特定技能1号に移行すれば、さらに5年間の在留が可能になります(合計最長10年)。

特定技能1号 は通算5年で満了しますが、2号に移行すれば在留期間の上限がなくなり、家族帯同も可能になります。2号は建設、飲食料品製造、外食など11分野で取得可能です(介護は除く)。

つまり、長期雇用を見据えるなら特定技能のほうが有利です。技能実習→特定技能1号→2号というキャリアパスを提示することで、優秀な人材の定着率を高められます。


違い⑥ 受入れ可能な分野

技能実習は91職種168作業と対象が広いのに対し、特定技能は16分野に限定されています。特定技能の16分野に含まれない業種(例:繊維・衣服関係、印刷など)で外国人を受入れたい場合は、技能実習(または2027年以降は育成就労)を利用する必要があります。


【2027年】育成就労制度で何が変わるのか

2027年4月1日から、技能実習制度は廃止され**「育成就労制度」**に移行します。育成就労制度は技能実習の後継ですが、大きな変更点があります。

変更点技能実習育成就労(2027年〜)
目的国際貢献人材育成+人材確保
転籍(転職)原則不可同一機関で1〜2年勤務後に可能
在留期間最長5年原則3年(特定技能1号への移行前提)
対象分野91職種168作業特定技能の16分野に統合予定
特定技能への移行試験免除あり移行を前提とした制度設計

最も大きな変更は転籍の緩和です。同一機関で1〜2年勤務すれば、同一分野内で転籍できるようになります。これにより、技能実習の「転職できない」というメリット(企業側から見た場合)はなくなります。

企業がいま準備すべきこと:

  1. 2027年4月以降の新規受入れは育成就労制度に基づくことを認識する
  2. 現在の技能実習生については、特定技能1号への移行計画を早めに立てる
  3. 転籍が可能になる前提で、外国人が「ここで働き続けたい」と思える職場環境を整備する

結論:どちらを選ぶべきか

こんな企業にはおすすめの制度
即戦力がすぐに欲しい特定技能
未経験者を一から育てたい技能実習(2027年以降は育成就労)
長期雇用を見据えている特定技能(2号への移行が可能)
特定技能の対象16分野外の業種技能実習(2027年以降は育成就労)
コストを最小限にしたい技能実習(ただし適正な報酬が前提)

これから新規で外国人を受入れる企業には、特定技能をおすすめします。 理由は3つです。即戦力として活躍できること、2号への移行で長期雇用が可能なこと、そして2027年の育成就労制度では転籍が緩和されるため「技能実習だから辞めない」というメリットがなくなることです。

すでに技能実習生を受入れている企業は、実習修了後に特定技能1号への移行を積極的に進めてください。移行は試験免除で可能であり、紹介手数料も不要です。


よくある質問(FAQ)

Q. 技能実習から特定技能への移行に費用はかかりますか?

自社の技能実習生を移行する場合、人材紹介手数料は不要です。ただし、在留資格変更の申請費用(行政書士に依頼する場合は5万〜15万円)と、登録支援機関への委託費(月額2万〜4万円)は新たに発生します。

Q. 技能実習と特定技能を同時に受入れることは可能ですか?

はい、可能です。技能実習生と特定技能外国人を同時に受入れている企業は多くあります。ただし、それぞれの制度に基づく管理義務(監理団体への報告、義務的支援の実施など)を別々に果たす必要があります。

Q. 2027年以降、既存の技能実習生はどうなりますか?

既存の技能実習生は、技能実習契約が満了するまで現行制度で在留を続けられます。満了後は、特定技能への移行または育成就労への切り替えが可能です。


まとめ

技能実習と特定技能は目的も仕組みも異なる制度です。2027年の育成就労制度への移行を見据えると、特定技能を軸にした採用戦略を立てることが、長期的に最も合理的な選択と言えます。

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